『翻訳できない、世界のことば』から、作文エッセイネタや願書ネタを考える方法について
● 『翻訳できない、世界のことば』から、作文エッセイネタや願書ネタを考える方法について
海外駐在員専門コンサルタントの齊藤です。
成蹊小学校国際学級の、2018年度帰国子女枠編入試験の合格発表が2月26日(月)にありました。
スカイプレッスン受講生、成蹊小学校国際学級に2名合格です!
担当は、北海道大学医学部の谷野先生です。
谷野先生は、アメリカのワシントン州のシアトル出身の帰国生です。
そして高校受験は、札幌南高校に合格しただけでなく。
慶應女子高校、東京学芸大学附属高校にも合格しています。
ですから英語指導が得意ですし、理系ですので、理数科目も得意なんですよ。
さて今回は、『翻訳できない、世界のことば』エラ・フランシス・サンダース (著)から、作文エッセイネタや願書ネタを考える方法について、お伝えします。
帰国枠入試の作文エッセイと願書では、以下の3つを書きます。
1、テーマに沿っていること
2、海外経験を組み込むこと
3、具体的であること
書き方について具体的に説明します。
まず、イントロダクションについてです。
東京都立国際高校の2013年度の帰国枠入試の作文エッセイでは、以下のテーマが出題されました。
帰国枠入試の場合、どの作文エッセイテーマにおいれも、テーマに沿って。自身の海外経験を具体的に組み込んで書きます。
1、イントロダクション: 自分の意見
2、ボディ: その理由
3、コンクルージョン: 自分の意見をもう1回
そして作文エッセイ、願書ともに、上記の構成で書きます。
僕はマレーシアのクアラルンプールに4年間暮らしてきました。
マレーシアでは様々な経験をすることができました。
それらの海外経験の中から、クラスの友人に伝えたいことは、各地域の身近な食べ物が、伝統的なお菓子の料理を作りあげているということです。
イントロの書き方は、原則、いつも同じで大丈夫です。
テーマに対して、「〇〇だと思う」、「□□ということです」のように書きます。
・海外生活を通して、各地域の身近な食べ物が、伝統的な料理を作りあげているということを、クラスの友人に伝えたいと思う
〇〇や□□の部分には、一般的な内容を書いても大丈夫です。
強引にユニークな内容、奇をてらった考えなどを、書く必要はありません。
その代わりに、ボディの部分で自分の海外経験を具体的に書きます。
海外経験を具体的に書くことで、〇〇や□□を証明することができますし、他の人には書けないユニークなエッセイに仕上がります。
次に、ボディについてです。
ボディでは、イントロダクションで書いた内容を証明していきます。
ありきたりな一般論ではなく、自身の経験で〇〇や□□を証明するとユニークなエッセイとなります。
帰国枠入試の作文エッセイですから、学校側は、帰国生が海外で経験してきたことや学んだことを知りたいと思っています。
そこで、ボディに書くためのネタを集めるために、これまでの経験を振り返る作業、つまり、「海外経験を棚卸」しておく必要があります。
その棚卸のヒントになるのが、『翻訳できない、世界のことば』エラ・フランシス・サンダースのような、海外の文化を紹介している書籍です。
作文・エッセイや願書内容を充実させるためのテクニックについてです。
帰国生が、自身の海外経験を棚卸するときに苦労することがあります。
・デリーでは、新鮮で豊富な食材を買うために市場に行くことがあること
・アメリカの現地校ではストリングスの授業があって、早くからバイオリンやチェロなどに取り組むこと
たとえば上記のような経験は、日本にずっと住んでいる人からすると、とてもユニークです。
しかし帰国生にとっては、それらの経験が日常となってしまっているため、ユニークな経験をしているという自覚がありません。
ですから海外経験の棚卸をしようとしても、特に思いつかない、何も思い出せないことが、よくあります。
そこで棚卸しをするために、海外の文化を紹介している書籍の力を借ります。
そのような書籍を参考にすることで、住んでいる国の文化の特殊性や、住んでいる国での普段の経験がユニークであることに気が付ける、あるいは何らかのヒントが得られる可能性が高いからです。
また、書籍で紹介されている内容の中には、自身が経験したことを見つけられる場合があります。
その場合はとてもラッキーです。
その経験を書けば、面白いと思ってもらえる可能性が高いのでチャンスですよね。^^
最後に、海外の文化を紹介している書籍を参考にする方法です。
『翻訳できない、世界のことば』では、他の国の言葉ではそのニュアンスをうまく表現できない、各国の言葉を紹介しています。
たとえば22ページでは、マレー語のユニークな単語が紹介されています。
・pisang zapra(ピサン ザプラ): 「バナナを食べるときの所要時間」という意味
マレーシアでpisang zapraについて経験したことがあるなら、その経験を作文エッセイのネタに使うことができます。
たとえば、「海外生活を通して驚いたこと」のような作文エッセイのテーマが出題された場合は、ネタとして使うことができますよね。
あるいはpisang zapraをヒントにして、エッセイのネタにできないかを一生懸命考えます。
バナナのことをマレー語でpisang(ピサン)と言います。
バナナはとても身近な食べ物で、マレー語文化圏のマレーシアやインドネシアでは、料理の中にバナナを見かけることが多いです。
・ロティピサン(マレーシア風バナナパンケーキ)
・ピサンゴレン(揚げバナナ)
・ピサンライ(緑色に着色した米粉にくるまれたバナナのスイーツ)
・クリピックピサン(バナナチップ)
バナナを使ったお菓子のレシピがとても多いです。
一方、日本は身近な食べ物がお米ですが、お米もお菓子のレシピに使われています。
そこで、以下のようなボディを書くことができます。
ボディ 1
僕の住んでいるマレーシアでは、熱帯性の作物をよく見かけます。
パイナップルやスイカなどの日本でもよく食べられる果物や、マンゴー、ドリアンなどのあまり馴染みのない果物も、年中とても安い値段で楽しむことができます。
様々なトロピカルフルーツがある中で、特によく見かけるのはバナナです。
バナナはそのまま食べることも多いですが、料理の材料として使われることも多いので、何らかの形でバナナを見かける機会がとても多いと思います。
たとえば、ピサンゴレンという、マレーシアの伝統的なお菓子がるのですが、これはバナナを材料とします。ピサンはマレー語でバナナ、ゴレンは揚げるという意味です。
つまりピサンゴレンとは、揚げバナナのことで、フードコートや道路沿いの屋台などで、よく売られています。
ピサンゴレンの衣がとても厚く食べごたえがあるため、ロティピサンを2本ぐらい食べるとお腹がいっぱいになります。
他にもロティピサンというバナナの入ったパンケーキ、クリピックピサンというバナナチップなど、バナナを使ったお菓子をたくさん見かけるので、バナナの印象が強いのかもしれません。
ボディ 2
日本でも、様々な作物を見かけることができます。
マレーシアから一時帰国したときに、冷凍食品などを買い集めにスーパーマーケットに行くのですが、マレーシアと日本の生鮮食品売り場には違いがあって面白いです。
あるとき、日本ではお米が、マレーシアのバナナのような役割を果たしていることに気が付きました。
お米は毎日食べます。
そして、大福やおはぎのようなお菓子、柿の種や揚げ煎餅などの材料にもなっています。
ですから、お米を見かける機会がとても多いと思います。
そうすると、各地域の伝統的なお菓子は、身近な食べ物が材料となって作られているのかもしれないと思うようになりました。
普段からよく食べている作物はたくさん栽培されているはずですし、美味しいわけですから、昔の人たちはお菓子の材料に使おうと考えたのかもしれません。
いずれにしても、海外生活を通して、住んでいる地域の身近な食べ物が、伝統的なお菓子を作りあげているのであれば興味深いので、ぜひ他の地域についても調べたいですし、クラスのみんなにも伝えたいと思いました。
pisang zapraをヒントにして、このようなボディを考えてみました。
作文エッセイや願書を書く場合、自身の海外経験を組み込むことが重要です。
しかしすぐに思いつくような、すぐに思い出せるような海外経験をネタにすると、誰でも書きそうな内容となってしまいます。
ですからバッチリな作文エッセイや願書を書くために、海外の文化を紹介している書籍をたくさん読んでネタ探しをされると良いですよ。
私たち講師陣が、作文エッセイや願書に特に強い理由は、スカイプレッスン生の住んでいる国や地域の特徴を調べ、書籍を読んでネタ収集をしているからなんですよ。^^
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